肩に何かいる。
憎しみが沸々と湧いているのがわかる。
この世界に対して、親しい間柄の人間に対して
自分自身に対して。
疑いようのない憎しみが沸き立つマグマをこの体の中心に抱いている事をまざまざと思い知ってしまった人間は、この先どうして生きて行けばいいのだろう。
心を許した人間と、心を許して、忌憚のない、又は配慮や単純に優しさのないともすれば嫌味や妬みの種類の言葉まで口にしてしまう、何よりこの自分自身が憎たらしい事この上なく、目覚めはいつも最悪極まった。
己を呪うか、世界を呪うかの二択を常に迫られ、かれこれ数ヶ月そのどちらも呪いきって心も体も疲れていたのであった。
深夜の電話はいつも優しさ満ち溢れていた。
それがたとえ虚実の入り混じった頼りない物であっても、地獄に垂れた一本の糸のように、引っ掴み手繰り寄せよじ登るような夜を二人してやり過ごすのである。
思えば隣で過ごしたままごとじみた日々も、嘘と誠で出来上がった泥人形同士の戯れあいであっただけなのに、
どうしてこうも、いつまでもいつまでも
こうはなりたくないと、切に切に染みいるような悲しみと共に思い続けているのに、わざわざというか、全くもってだいたいこうなのである。
あの日々が戻るならば、史上類を見ぬ覚悟を持って、望みたい。
などと、弱音が朝日と共にこの世とこの胸を満たしたままなのであった。
終わりゆく人間の人生は終わって行く。