思い出日記4

思い出日記4

どうして泣いてるの

 

朝から空は真っ暗だった。

俺の心も真っ暗だった。

 

昨日は高円寺北口広場でくろはさんとのうじょうと飲んで、きづいたらみんなで飯田さんともみじの家にいて、飲んでた。

最近、高円寺でのんでるととりあえず最終的に二人の家に行きたくなっている。

二人とも優しいから。

 

0時頃彼女の家に帰って、一人で寝た。

彼女は仕事関係の人と宅飲みパーティーの真っ最中。

 

何時に帰ってくんの!!!

誰と!!何人と!!男と女の人数は!!!部屋の広さは!!!

と、言いたい気持ちと、

 

もう、そんなのやめようよ。合鍵もらったんだし、無駄な事はやめなよ。

の気持ちで、

寂しいな〜。と思ってたけど、まぁ、もうおれもそろそろそうゆうの疲れる年になってきたし、黙って寝てた。

 

何時かわからないけど、3時くらい

彼女は帰ってきて、帰ってきたよ〜。ってしてくれた。ほんとは朝までいたかったけどね〜。みたいな感じで。

その時の俺は、寝ぼけながら、

そんなん言っても遅いもんは遅いから!!!寂しいから!!!

の気持ちが勝って、優しくできなかった。

俺は寝る前に明日用のお弁当を自分で作っていた。

そしたらせっかく彼女が作ってあげようと思ってたのに!!と怒られた。

その後俺が何か不快な一言を言ったようで、さらに怒られた。叩かれた。

俺は寝ぼけててよく覚えてないけどすごい怒られた。

 

その時、明日の朝早いって言ってたのに、寂しかったけど文句言わないようにしてたのに、お弁当も彼女の負担にならないように、でも二人で遠くに行ったりしたいから節約の為に自分で作ったのに、なんでこんなに怒られなきゃいけないんだ。

と思ってしまい、

寝ぼけてたのとまだ少し酔ってたのもあって、自分で作った弁当をゴミ箱に捨てるという暴挙に出た。

頭がいかれてる。

そこから、言った言わない、誤りだ、非人道的だ、気持ちが、気持ちが、気持ちが!!!

あなたは!!こんな俺のことはとっくに見限っており、好きじゃないんだろーー!!!!!!

の何がなんだかわからないいつもの冷静に言いたいことが言えないあれになって、随分と彼女に嫌な思いをさせてしまった。

そうこうしてるうちに5時のアラームが鳴って、起きる時間になった。

ほとんど寝てない。

それがさらに、ほんとにストレートに最低な気分の雨あられになって

もう、俺は怒っている!!!

俺は!激怒した!!!

という、激怒は言い過ぎだけど、

なんでこんな思いしなきゃならないんだ!!のいつものアレになって、悲しみと絶望の物語を歩き出した主人公になって家を飛び出した。

 

そして、会社について、現場に移動して雨が降ってきて、

なんで、優しくできなかったんだろうかと悔やんだ。

頭の中では何個も言い訳が出てくる。

でも、彼女を喜ばせてあげられなかった。嫌な気持ちにさせてしまった事実は今日一日消えないで覆いかぶさってくる。雨と一緒に。

 

今日は建設現場の客土入れだった。

一日中植栽用の土を運んでは入れすくっては入れを繰り返す日だった。

降りしきる雨は土を泥に変えて手足にへばりついた。

 

今更なんにも言えないのに、

『いっぱいいっぱいになってしまったごめん。』

とLINEを入れた。

 

朝ごはんも食べずにもくもくと土を運ぶ。

視界の水平が取れない。

雨は冷たいのに体からは湯気が立ちそうなほど暑い。

かっぱの中は湿気が充満して化学繊維の作業着が肌にまとわりついた。

手に力が入らない。

 

まだ続く、まだ続く、運んでも運んでもダンプの上の土は減らない。

雨を吸って重たくなった土を運ぶ一輪車のハンドルが滑る。

二の腕と背中が痺れている。

 

起きたかな、寝てるかな、LINE見たかな、どう思ってるやろ、悲しんでるかな、もう連絡取ってくれないかも、嫌われてしまったかもしれない。

 

どんな時も優しくできない、

感情を抑えられない、軽率な男だ。

体力さえあれば誰でもできる仕事をもくもくとこなすだけの能無しが、好きな人の喜ぶ顔も守れないなんて、情けない話だ。

 

と、少しずつ着実に減っていったダンプの土と反比例して、心の泥は増えていった。

 

昼休み、ヘロヘロになって、

iPhoneを開く、返信はない。既読はあった。

見て、返信をしない、と言うことは思う事があるんだ。当然だ。

電話をかける。一回目、LINE電話、出ない。

二回目、電話番号、出ない。

 

これは、もう、あれですね、これは、もう、あれですよ。

最低だ。ほんとにおれは。

 

雨はどんどん強くなっていく。

服が濡れて寒い。

ガストで昼食を取ることにした。トイレに座って、ほんとは良くないんだろうけど、三回目の電話。

出た。ものすごくフラットなトーン。

謝罪に対してものすごくフラットなトーン。

 

心の中を開いて見てみたい。

 

 

仕事先に、社員への勧誘と、営業職のアシスタントの誘いがあった。

営業は経験しといて損はないはずだ。

俺の人となりや能力を買っての勧誘だと言うことを言ってもらった。

だけどいまいち社員になるという所に気持ちが入らない。

口だけは一丁前なのに、肝心なところはこうだからダメなんだと思う。

 

優しくなりたい。